質権設定契約の留意点

質権設定契約

  1. 概要
    1. 権利質を中心に説明する。
  2. 質権設定
    1. 通常は「質権設定者(pledgor)は、本契約締結日において、被担保債権を担保するため、目的物に質権を設定する。」と規定される。
    2. 信託受益権に質権を設定することができる(信託法96条1項)。
  3. 対抗要件
    1. 権利質の対抗要件第三債務者に対する通知又は第三債務者の承諾である(民法364条)。
    2. 信託受益権質権設定契約の場合、質権設定者は、契約締結日において、第三債務者(信託受託者)の承諾を得た上で、確定日付を取得する。
  4. 質権実行
    1. 質権の私的実行は処分清算型・帰属清算型に分けることができる。
    2. 処分清算型は、質権者(pledgee)が第三者に目的物を処分し、金銭を被担保債権に充当する方法である。①余剰が発生した場合は質権設定者に返還し、②不足が発生した場合は質権設定者が支払うことになる。
    3. 帰属清算型は、質権者(pledgee)が目的物を帰属させる方法である。①評価額が被担保債権額を超過した場合は差額を支払い、②評価額が被担保債権に不足した場合は差額を請求することになる。
  5. 参考文献
    1. 質権設定契約の雛型は以下に掲載されている。
      • 監修 犬塚浩(弁護士) 編集代表 永滋康(弁護士) 編集 第二東京弁護士会五月会『民法改正対応 契約書式の実務 下』(創耕舎、2019年)345頁